第11章 本当の気持ち
仕事帰り。
スーパーに寄ると、偶然見かけてしまった。
シュリと羽山くんが楽しそうに買い物をしている所を。
羽山くんのことで言い合いになった後から、シュリとは気まずくなってしまった。
どうやって仲直りしようか。
ずっと考えていた。
…大人気ないな、嫉妬なんて。
それでも俺はシュリを失いたくなかった。
俺はずっと、温かい家庭に憧れている。
施設の人達は本当の親のように接してくれたけど、それとは別に、自分の家庭を持ちたい気持ちがずっとある。
シュリは、俺が思い描いている温かい家庭の母親像に凄く近くて。
好きだな、この人と幸せになりたいな。
シュリと接していく内にそんな想いが強くなっていった。
シュリと両想いだと分かった時、本当に嬉しかった。
大切にしたい。幸せにしたい。
そう、思ってるんだけど…。
「…多分、また一人ぼっちになるかな。」
別れの予感を、感じていた。