第2章 出会いの春
「だから、気分転換するの付き合えよ。」
「なんで私がっ…。」
あまりにも身勝手な羽山さんに苛立ち、彼を睨み付けた。
羽山さんは冷ややかな目で私を見下ろす。
「それ、睨んでるつもり?」
鼻で笑われ、更に苛立つ。
こんなに人に苛々するのは久しぶりだ。
「あのー、お客さん。」
そこで、店のマスターに声をかけられた。
「これ以上店の中で騒ぐのはやめてもらえるかな?」
初老のマスターに優しく諭され、私達は店から出た。
「もうあのお店行けない…。」
「なぁ、お前下の名前は?」
羽山さんは全く気にしてない様子だ。
「シュリですけど…。」
「シュリね。俺は徹。」
「さっきの騒ぎで聞こえてました。」
「あ、そう。あと敬語やめろよ。」
「なんで一々命令形なんですか。」
せめてもの抵抗として、わざと敬語で話続けた。
羽山さんは不満げな顔をした。
「だから、敬語やめろ。」
「嫌です。」
すると、いきなり羽山さんに頬をつねられた。
「い、いひゃい…やめれくらはい、はやまはん…!」
「餅みてぇに伸びるほっぺだな。あと羽山さんじゃなくて徹な。わかったか?シュリ。」
「わひゃりました…。」
「よし。」
私が観念すると、羽山さん…徹は私の頬から手を離した。