第10章 行方不明の徹
「最近直人さんとはどうなの?」
「徹のことで言い合いになってからなんか気まずくて…あまり関わってない。」
「そっか…シュリ、大丈夫?」
「今は正直…直人より徹のことが心配かな。」
七瀬は腕を組んで頭を捻った。
「せめて徹が行きそうな場所が分かればなー。」
「徹の行きそうな場所かー…。」
その時ふと、徹と知り合った頃に行ったダーツバーを思い出した。
「あ!ダーツバー!」
私がいきなり大きな声を出した為、七瀬は驚いた顔で私を見た。
「は?ダーツバー?」
「そう!前に徹と1回一緒に行ったの!徹ダーツ好きだからあそこにいるかも!」
「そうなんだ…よし、今日学校終わったら行ってみるか!」
しかし、同時に思い出した。
あそこは客層が悪い。
女の子が2人で行って絡まれたりしたら…。
「でもそこ客層悪くてさー…女の子だけで行くのは危険かも…。」
「あー…そうなんだ。」
2人して項垂れていると、後ろから肩を叩かれた。
振り返ると紫音先輩が立っていた。
「紫音先輩…。」
「話、聞こえたよ。俺が一緒に行こうか?」
「いや、そんな悪いですよ…!」
「可愛い後輩のためだからね。協力させてよ。」
七瀬を見ると、あまり乗り気では無さそうだが頷いていた。
「じゃあ…お願いします。」
「うん。今日写真部の活動が終わったら行こうか。」
そう言って紫音先輩は去って行った。
「ねぇ、別所先輩で大丈夫なの?正直弱そう…。」
七瀬がそう思うのも仕方ない。
紫音先輩は背も低いしかなり華奢な体付きだ。
「まぁ、男性に変わりはないし…。」
「あれ男の内に入るの?」
「七瀬、流石に失礼だよ。せっかく協力してくれるって言うんだし…。」
正直、私も少し不安だった。
放課後、写真部の活動が終わった後、私と七瀬と紫音先輩でダーツバーに向かった。