第9章 揺れる心
「もしもし?」
「シュリ、今どこにいるの?羽山くんがうちに来たんだけどシュリを探してたみたいで…一緒に学校に行ったんじゃなかったの?」
「あ、えっと…詳しい話は帰ってからするね。心配かけてごめんね。あと、直人にお願いがあるんだけど…。」
「なに?」
「私、登校中に転んで怪我しちゃって…たまたま通りかかった先輩が自宅で手当てしてくれて…アパートまで歩いて帰るの辛いから、その先輩の家まで迎えに来てくれないかな?」
「それはいいけど怪我って…大丈夫?」
「うん、ちょっと足挫いただけだから。先輩の家の場所は…。」
直人に紫音先輩の自宅の場所を伝え、電話を切った。
「今から彼氏が迎えに来てくれるので。ありがとうございました。」
「シュリ、彼氏いるんだ。てっきり羽山君とそういう感じなのかと思ってた。」
「徹は違いますよー。」
適当に笑って誤魔化した。
その後、直人が迎えに来てくれて、私達はアパートに戻った。
アパートの階段を上るのは難しく、直人におんぶをしてもらった。
「シュリ、何があったかちゃんと話してね。」
「うん、わかった…。」
私達は直人の部屋で話をすることにした。