第9章 揺れる心
アパートに着き、シュリの部屋のチャイムを押すが、反応が無い。
横目で池田の部屋を見る。
もしかしたら、池田の部屋にいるのかもしれない。
俺は池田の部屋のチャイムを鳴らした。
すぐに池田が出てきた。
池田は俺を見ると不思議そうな顔をした。
「羽山くん?どうしたの?」
「シュリ、いるか?」
「え?一緒に学校に行ったんじゃないの?」
「え…お前の部屋にもいないのか?」
自分の部屋にも池田の部屋にもいないなんて…あいつ、何処に行ったんだ?
俺は走り出した。
後ろから池田の声がしたが構わず階段を下り、シュリが行きそうな場所を考えた。
しかし、よく考えてみればこの辺りは住宅街。
駅方面に行かなければ何も無いような場所だ。
大学は駅の反対口にある。
駅方面に向かったなら、嫌でも俺と同じ道を辿るはずだ。
シュリが後ろから付いて来ていれば気が付いたはず。
シュリは何処に行ったんだ?
俺はポケットからスマホを取り出し、シュリの番号に電話をかけた。