第1章 メリークリスマス...N
駅前のイルミネーションが
綺麗な道を2人で歩いた
『あの...
和也さんって呼んでもいいですか?
二宮さんだとお母さんも二宮さん
なので...』
遠慮がちにそんなことを聞く
じゃあ俺も名前で
呼ぶねとか言えるはずもなく
「好きに呼んでくれていいですよ」
素っ気なくしか答えられなかった
そんな生活がしばらく続いた
毎日一緒にご飯を食べて
彼女の家までの10分間を2人で
他愛のない話をしながら歩く
今までクリスマスにいい思い出
なんてなかった
でも今年ははじめてこんないい
季節だと知った
クリスマスがなかったら出会うことが
できなかったから
ただひとつだけ欲を言うと
横にいる君と俺の
届くか届かないかにある
この手の距離がどうにかならないかな