第2章 流れる毎日
ち、近!
恋人でも、何でもないのにこの距離はないんじゃ
焦る私を余所に、私の後頭部に左手を置いて頭の位置を固定される。
顔の真近に超イケメン様が居ます…じゃなくて!こういう時はどうするの?
あまりに、突然な事に頭が回らない。
固まってしまう
「ふふ、抵抗しないの?」
悪戯っ子の笑みを浮かべ、右手で私の頬を撫でる。そして、私の髪を触る。
さっきまでの、とてつもなく素晴らしい笑顔とは違った笑顔だ…
「嫌なんだけど?」
手で私の髪を遊びながら、言う綱吉さんはどこか色っぽい。
正直、キュンとするのが事実だ。
でも、今は嫌なんだけどの意味が分からない
「なーんで、“綱吉さん”なの?」
え?いや、何でって…
「“ツナ”じゃダメ?ほら、答えてよ?この口で」
唇をそっと撫でる
その仕草にボッと火がついたみたいになる。
「こーたえてよ?」
また、1cm顔を近づける。もう鼻がつく…い、言わなくちゃ
『いや、あの、やっぱり此処は会社ですし、綱吉さんは社長ですし…』
「んー、でも、俺は“ツナさん”って呼んでほしいなぁ」
…よく、よーく考えよう。
この状況、おかしくない?
たかが名前ですよ?
恋人みたいな、こんな距離で…そう考えると余計に顔が赤くなるだけで…
「侑?」
『///⁈』
耳元で甘ったるい声で囁かれる。
ダメだ、私の頭もう働かない
…私こんな所で働けるの?