第4章 〜華奢〜
「あ、玲ちゃん!」
騒がしい方へと足を運ぶと、桃が気づいて寄って来てくれる。
視線を横にずらすと、檜佐木が真っ青な顔で突っ伏していた。
「冬獅郎機嫌悪いから置いてきちゃった。此処は和やかだねぇ。…約一名死にそうだけど」
「あはは。乱菊さんがちょっと暴走しちゃって」
桃の視線の先を見遣ると、今まさに一升瓶を口に突っ込まれている恋次が。
「…楽しそうだねぇ」
「うん、乱菊さんだけ、ね」
被害者が少し憐れに思えて、突っ伏している檜佐木の額を小突く。
序でに身体の酒気を飛ばしてやった。
「んぁ?なんか身体楽に…って、瑞稀?」
ぼんやりとした思考を懸命に働かせる檜佐木に小さく笑って、桃と一緒に席に着く。
すると乱菊が戻ってきて抱き締められた。
「うん、玲なら来てくれるって信じてた」
乱菊から伝わってくるのは純粋な好意で。
「一緒に飲もうって誘ってくれたもんね」
笑顔で答えながら腕を叩くと、気付いてすぐに開放してくれる。
けれど、乱菊に抱き着かれるのと、冬獅郎に抱き締められるの、なにか違うんだけど…どうしてなんだろ。
性別が、違うから?