第4章 〜華奢〜
さて、これどうしようか。
自分の現状に意識を戻した私は、静かに酒を飲む白哉と、未だ不機嫌な冬獅郎と、どうにか場を盛り上げようと頑張っている浮竹と、空気の読めない京楽に囲まれていて。
「あ、浮竹隊長。ルキアから何か報告ありました?」
だからと言って一気に酒を煽るなんて無茶も出来ない私は、一番会話が成立しそうな彼に話をふった。
「あぁ、また黒崎君のところにお世話になっているそうだ。そう言えば何か妙な霊圧がどうとか報告が上がっていたが、確証の得にくい記述ばかりでね」
苦笑を浮かべる浮竹に、白哉が独りごちるように呟いた。
「…執務能力を向上させる必要がありそうだな」
「あ、いや、朽木!そういう事ではなくてだな!」
必死に白哉に弁明を始めた浮竹を見て、もう駄目だなと悟る。
いつの間にか冬獅郎も日本酒を煽り始めていて。
そのペースに余程ストレスが溜まっているのかと心配になる。
「冬獅郎、お酒強いの?」
「別に弱くはねぇよ」
未だ機嫌が悪そうな彼と、これだけ人の多い場所で会話するのは不毛だ。
姿形で子供扱いはされなくなっても、周りに去勢を張る癖はまだ彼に根付いている。
それを理解した私は、くいっと手元のお猪口を空けると、
「ちょっと、あっち行ってくるね」
そう言い置いて、乱菊達の元へ足を向けた。
「…君も不器用だねぇ」
「…うるせぇよ」
逃げる様に消えた玲を見遣っての、京楽が呆れ交じりの呟きと、日番谷の苛立ちの混ざった声は喧騒に消えた。