第4章 〜華奢〜
「ほらほらぁ、主役がぼうっとしてちゃいけないでしょ〜」
ばさりと派手な羽織が翻って、京楽隊長に手を引かれ。
「昼間は大丈夫だったのかい?」
隊主室での惨劇を思い出したのか、浮竹隊長に心配される。
「私は何もしてませんから。それより、浮竹隊長お身体は良いんですか?」
「数日前に来た君にまで心配されると、少しへこむよ…」
言葉通り肩を落とす浮竹隊長にくすりと笑うと。
「私も、兄が来るとは思わなかったな」
隣で飲んでいた白哉が、ぽつりと零す。
彼の病気は情報としては知っている。
そして、今尚生きていられる理由も。
けれど、浮竹隊長はその事を誰にも教えていない様だった。
今度こっそり治しに行こうか、なんて考えていると。
「ほら、玲ちゃん。お酒飲めるかい?」
お猪口に入ったお酒を京楽隊長に渡される。
「…飲んだ事ないですね」
答えながら、受け取ったそれを口元に近付けると、つんとした酒気が鼻をついた。
恐る恐る舐めてみる私の隣に、
「無理に飲む必要ねぇぞ」
そんな事を言いながらどかりと冬獅郎が腰を下ろして。
乱菊は、と視線を走らせると、楽しそうに檜佐木と恋次にお酒を飲ませていた。
その隣で桃と吉良が和やかに会話している。
多分隊長ばかりだから近付き辛いんだろう。
ちらと此方に視線を向けた桃と目が合ったので、後で行く、と手で合図すると、嬉しそうに笑ってくれた。