第4章 〜華奢〜
そのまま、連行される様に連れてこられたのは、少し敷居の高そうな料亭で。
「え?乱菊…?」
私は首を傾げて彼女を見遣る。
冬獅郎は何か気付いたらしく、眉間の皺を深くした。
「ほらほら、玲早く早く」
押し込まれる様に店に入ると、見覚えのある顔がちらほらと見えた。
「お、やっと来たねぇ。松本君、もう飲んじゃってるよ?」
そう、呑気な声音で話しかけてくるのは京楽隊長。
「こら、京楽。だから少し待とうと言ったじゃないか」
そんな彼を嗜める浮竹隊長。
「うわ、本気で日番谷隊長まで丸め込んできやがった。どんな手使ったんスか、乱菊さん」
酒瓶片手にこちらを見て喫驚を浮かべるのは恋次。
「…玲を先に口説いたに決まっておろう」
お猪口で静かにお酒を飲んでいるのは白哉。
「玲ちゃん、二日ぶりだね!」
そう可愛らしい笑顔で笑うのは桃。
「…昼間は悪かったな」
仏頂面で謝罪を述べる檜佐木修兵。
「始めまして。吉良イズルです。宜しく、瑞稀さん」
物腰柔らかく自己紹介する金髪金眼の三番隊副隊長。
「…松本。今日はやけに地獄蝶が飛んでたな」
「あはは…そうでしたっけ?」
冬獅郎の不機嫌そうな声と、乱菊の空笑。
何故か全てが現実ではなく現の夢の様な気がして、ぼうっとしていると。