• テキストサイズ

〜泡沫〜《BLEACH》

第4章 〜華奢〜



閉まった扉を見届けて、玲がふっと溜息を吐く。

それから、俺をちらりと見て微笑むと、掛けてやっていた羽織を被り直して、また長椅子で丸くなった。

そんな些細な事に、どくんと鼓動が早くなるのを感じて。

誰に良かったわけじゃないと、先の言動で理解して。

自分は認められているんだと自覚した。

それだけで妙な焦燥や、靄が掛かったように重かった心が軽くなるのだから不思議だ。

執務机に座ると、奥の部屋から茶を手にして戻ってきた松本が、


「あら、玲寝ちゃったんですか?」


と、残念そうに眉を下げていたが。


「今日は彼奴に頼るなよ。偶には自分で仕事しろ」


茶を受け取りながら圧を掛けると、松本はちらりと玲を見て苦笑を浮かべて。


「疲れちゃったの、私のせいですかね」


何処と無く反省した様子で、大人しく筆を握った。

さぼり癖が板に付いた此奴にまでこんな顔をさせる玲の影響力に、微かな不安を覚えながら。

/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp