第4章 〜華奢〜
「だから?手っ取り早く強くしてもらおうって?」
「いや、すぐ強くしろとは言わねぇ。お前にそんな義理がねぇことぐらい分かってる。…修行付けてくれねぇか。今のままじゃ…東仙には勝てねぇ。でも、どうしても、超えてぇんだ!」
奴の瞳に暫く見つめた玲は、小さく溜息を零して、その腰の斬魄刀を見やる。
「自分の斬魄刀の存在を嫌悪してる貴方がどうやって強くなるというの?」
「っ…!」
玲の言葉で、檜佐木の目が見開いた。
初対面のはずなのに、何故そんなことまで分かるのか…なんて疑問は最早持たない。
「対話なさい。その子と。どうしてそういう名であるのか、姿形であるのか。斬魄刀の力も姿も能力も。全てが自身の深層心理と直結していることを理解なさい。それすら出来ない人に教える事なんて何もない」
冷たい、突き放す様な声音。
何時もの無邪気な話し方とは全く違う雰囲気。
しかし、それは全く違和感を感じさせない。
それが本来であるかの様に、するりと彼女の姿と馴染む。
檜佐木が何か言おうとしたが、玲の雰囲気がそれを許さなかった。
暫く俯いた奴は分かったと言葉を残して、隊主室を出る。
一緒に来ていた阿散井も、座ったままの玲と去っていく檜佐木を見比べた後、俺に一度頭を下げて、部屋を出て行った。