• テキストサイズ

〜泡沫〜《BLEACH》

第1章 〜欠片〜



「…うん」


こくりと素直に頷く。

ここで嘘を重ねても意味は無いから。


「なんで隠した?」


その問いに、私は真っ直ぐ翡翠の瞳を見つめた。


「此処…精霊邸に入って直ぐ、この場所で生きてくのに必要な情報が流れ込んできたの。さっきの…山本元柳斎は護廷十三隊の総隊長。そんな人に、霊圧が高すぎて目を付けられると動き辛くなる…そう、思ったから」


私の返答に、冬獅郎は苦々しい顔をする。


「…情報が流れ込んで来たってのはどういう意味だ?」


「そのままの意味。空っぽの知識に、必要な情報が上書きされる。
私は…世界の一部。あくまで意思を持っただけの欠片だから。常識なんて通用しないの」


私と彼は違いすぎる。

それを自分の口で言ってしまったからか、少し心が重くなる。


「…成る程な。だが、俺達が疑問に思うのは分かってたはずだろ?その場で俺が反論してたらどうするつもりだったんだ?」


「…冬獅郎はそんなことしないよ。皆の性格だって、もう情報として知ってる。
貴方と朽木さんは、敢えて面倒になりそうな事を公にしようとなんてしないでしょう?」


それは、流れてきた情報に基づいた、確信。

けれど、少しだけ不安になった私は、ちょっとした悪戯を思い付いて笑みを浮かべた。


「あ、でも、ちょっと心配だから、口止め料あげる」


「はぁ?いらねぇよ、そんなもん」


不機嫌そうに眉を寄せる冬獅郎に歩み寄る。


「拒否権無し」

/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp