第1章 〜欠片〜
嫌な予感に後ずさる冬獅郎に人差し指を向けると、縛道の六十一、六杖光牢が彼を捕縛する。
「な…無詠唱?!」
驚きで目を白黒させている彼の額に指を置く。
瞬間、意識の無くなった身体を抱き留めて、縛道を解く。
人が来るとまずいから、霊圧を隠す結界を張って。
長椅子まで移動して、冬獅郎を寝かせると、その胸に手を翳した。
霊力を同調させ、送り込んで潜在霊力の値を探る。
霊力に目覚めてからあっという間に力を強力な力を手に入れてしまったせいで、不安定な魂魄を軽く弄って安定させて。
潜在霊力の最大値まで、一気に霊圧を引き上げた。
カッと彼の身体が光を発して、形を変える。
少年の様な容姿は、何回りか大きくなって、顔立ちは精悍さを帯び、大人っぽくなった。
霊圧もさっきまでとは比べ物にならない。
私の全力の…四割ぐらいかな。
やっぱり潜在能力が高い人は凄い。
この際魂魄ですらない自分は置いておく。
身体が大きくなって、今まで着ていた死覇装が小さいのか、苦しそうだから、帯緩めて。
放出し続ける霊圧を一時的に抑える術をかける。
因みに、肌蹴た服は隊服で隠した。
この子、無駄に色気強いんだもの。
このままだと私、変態みたいだし。
さてと。
冬獅郎が起きるまで…この書類の山でも片付けて置いてあげようかな。