第3章 〜特別〜
確かに私に謀る気なんて欠片もない。
けれど。
「…それで良いの?総隊長さんなのに」
嘘だってついてる。
潔白なわけじゃない。
それでも、元柳斎は優しく笑う。
「目は口ほどに物を言うとはよく言ったものよの。疑心を抱くこちらの方が、悪であるかと錯覚させる。其方の瞳の意志の強さ故にの」
意志。
それは私の存在意義で。
世界の一部でありながら、世界のカケラとして生まれ出でたきっかけであり、総て。
その力は、世界だけでなく、人をも魅了する何かなのか。
少しの思考の後、私はゆるりと目を開く。
彼は私を認めたのだろう。
疑う事を、やめたのだろう。
なら、話すべき事は話さなきゃならない。
「…わかりました。お話しします」
言葉を正して、真っ直ぐに総隊長を見据えて。
後ろに、九つの隊長達の気配を感じながら。