第3章 〜特別〜
総隊長はしばらく黙っていたけれど、まぁ良いと呟いた。
「今の所、抑えている霊圧が暴走する様子も無さそうじゃ。が…日番谷隊長と朽木隊長の霊圧の質が変わっている事については説明して貰おうかの」
成る程ね、と私は苦笑した。
霊圧の大きさは抑制装置で抑えたけれど、上がりきって変化した質まではこの人には誤魔化せなかったみたいだ。
「知って、どうするの?」
少し威圧的に目を細めると、総隊長は閉じていた目をゆるりと開いた。
鋭い瞳と視線がぶつかって、それでも怯まずに見返すと。
「成る程の」
再び目を閉じた元柳斎が何か納得したように呟いた。
首を傾げると、お爺ちゃんの顔から厳しさが消え、ふっと口元に笑みが浮かぶ。
「いや何、規律や立場を重んじる筈の朽木や、砕蜂、冷静で客観的な立場を守るはずの日番谷等の心を開かせたものが何なのか少し気になっての」
総隊長の言葉に数日の記憶を思い返す。
冬獅郎は半ば脅し。
白哉は挑発。
砕蜂に至っては何をした記憶もない。
あれ、私凄く悪い子だ。
けれど元柳斎が言いたかったのはそういう事ではないらしく。
「其方の瞳。そんなにも濁りの無い澄んだ目を見るのは儂も久しい。疑えぬわけじゃの」
一つ納得するように頷いた総隊長の纏う空気が柔らかくなった。