第3章 〜特別〜
一番隊隊主室。
そこで私は両側に並ぶ隊長達の間に挟まれて山本元柳斎と向き合っていた。
大丈夫。
もう不安は無い。
迷いも晴れた。
後は、どう交渉するか。
それだけ。
「此度虚の出現の折、十番隊隊長と共に現場におったと聞き及んだ。大方其方の入れ知恵じゃろう?どのように察知した?」
まずそこからか、と私は息を吐いて、総隊長を見つめる。
「私が調停者だと言うことはご存知のはずですよね?」
「それは知っておる」
重々しく頷く元柳斎に、私は言葉を続けた。
「私は魂魄ではありません。世界が型作った、意志のカケラ。世界の異変は、その一部である私にも伝わります」
「成る程の。それで空間の歪みを、出現前に探知できるという訳か」
頷いて肯定を示す私に、総隊長は目を細める。
「抑制装置は付けておらぬようじゃの」
やっぱり、気付かれるよね。
しょうがない、素直になろう。
「…付けた途端、砕けてしまいました」
「ほう?其方抑えておる霊圧は八割と言っておったはずじゃが?」
実際はそんな数値じゃない。
九割九分九厘抑えてる。
けど流石にそれは口に出来る筈もなく。
「…自分でも良く把握出来ていませんから」
そんな言い訳をするしかなかった。