第3章 〜特別〜
隊主室に入ると、乱菊が何があったのかと聞いてきた。
けれど、本当の事を言う訳にも行かず、風邪で寝込んでいたから治してきたとだけ伝えた。
「玲の斬魄刀、治癒能力があるの?」
「まぁ、そうだね」
きょとんと問い掛けてくる乱菊に曖昧に濁して、私は温かいお茶を淹れた。
それを持って隊主室に戻ったタイミングで冬獅郎が来たのでそれを渡す。
「…悪い」
目を逸らして受け取る彼は何処と無く素っ気なくて。
なんでだろう、と首を傾げてみるも、さっきの事しか思い当たる節は無くて。
私はそっと乱菊の側に寄って、聞いてみると、彼女は目を見開いて私の両肩を掴んだ。
「玲、本当に分からないの?」
「…うん」
しゅんと肩を落として頷く私に、乱菊は哀れみの視線を遠くに投げた。
「隊長が苦労する訳だわ」
「…?」
「玲、良い?それはね…」
乱菊が何かを教えてくれようとした時、私はふっと目眩を感じた。
それと同時に、遠くで何かの咆哮が聞こえて。