第3章 〜特別〜
すぐ側にある氷輪丸から、凄い冷気を感じて、彼が何をしたのか察した。
「冬獅郎?卍解の修行をしたのね。制御装置は外した?」
そっと彼の身体を天照の発する光で温めながら、問うと、薄っすらと開いた瞳は、否を映した。
「氷輪丸が怒ってるんだよ。その程度の霊圧で、今の自分を制御できるはずが無いって。だから、冬獅郎も寒いの」
少し暖かくなってきたのか、開いた瞳が、驚きで丸くなる。
けれど、まだ口は開けないらしい。
「”氷輪丸”。冷気を鎮めなさい。怒るよ?」
ベッドの側に立て掛けてある斬魄刀を睨み付けると、渦を巻いていた冷気がゆっくりと収まった。
「…いい子。貴方も文句があるなら具象化して話しなさい。出来るでしょう?」
ふわりと浮き上がった龍の残像が、静かに頷いたのを見届けて。
私は冬獅郎に向き直る。
「天照。”癒しの光”」
私が呟くと、手から現れた虹色の光が、冬獅郎を包み込む。
暫くすると、ゆるりと起き上がった冬獅郎に、ふわりと抱き締められた。