第3章 〜特別〜
「分かった。玲と呼ばせてもらう。だが、私の事もルキアと呼んでくれぬか」
「うん!わかった、ルキア!」
嬉しくなって飛び付いた私を見て、ルキアが顔を赤く染める。
「に、兄様!なんですか、この可愛い生き物は!」
悲鳴染みた声を上げるルキアと、視線を逸らして何かを堪える白哉。
生き物って、なんか酷いと思うんだけど。
そんな事を言いながらも抱き締めてくれるルキアの香りは、何処と無く白哉と似ていて。
義兄妹なんだな、と実感した。
「…ルキア、何時出る?」
「今宵、数刻後に」
「…そうか」
なんとなく、会話を聞いていて、白哉が言いたいことを察した私は、
「じゃあルキアもご飯一緒に食べよ」
彼女を見上げてそう、誘っていた。
「…兄様。私、今男に生まれなかったことを激しく後悔しております」
「…玲。戻れ」
「え?なんで?」
「あぁ!玲、行くな!」
そんなこんなで。
一緒にご飯を食べたルキアに、最後の最後で気を付けろ、とだけ言った白哉と、嬉しそうに頭を下げたルキアを微笑ましく見守って。
ルキアは現世へと赴いた。
「…礼を言う」
それを見送って、ぽつりと呟かれた言葉にくすりと笑って。
「白哉、不器用なんだね」
「…未だ、どう接していいか分からぬのだ」
少し目を伏せた白哉をそっと撫でて、何時もと逆だね、なんて笑いながら。
当たり前のように、同じ布団で眠りに就いた。