第3章 〜特別〜
「では、あの噂は…」
「…死覇装を着て、私や砕蜂、日番谷なんかと常に一緒にいれば、そう噂されてもおかしくはない」
それが例え見張りでも、周りには楽しく会話している様にしか映らないのなら。
その通りかもしれない。
実際白哉なんてわざわざ休暇を取って、休日を私の為に使ってくれている。
それが只の見張りだなんて思えなくなってるのは私も同じで。
「…まぁ、いっか」
噂なんかに物申しても意味が無いと割り切った私は、勝手に思考を切り上げた。
「それより、朽木ルキアさんだよね?十三番隊の」
「私をご存知なのですか?」
「そんな堅苦しい言葉使わなくていいよ?私、死神ですら…むぐ」
ないんだから、と続けようとしたが、後ろから伸びてきた白哉の手に口を塞がれる。
なんで、と目で訴えるも、彼は何も言わずに首を振った。
「余計な事を言うな」
仕方なくこくりと頷くと、手を離してくれる。
「…え?兄様?」
不思議そうに私達を見つめるルキアに、誤魔化すように笑って。
「兎に角、玲で良いからね。ルキアちゃん」
「は?!その様な…「いいの!」玲…殿」
尚も敬称は外してくれないルキアに、悲しくなって、後ろを振り返る。
「…むぅ。白哉ぁ…」
涙目で彼を見上げると、察してくれたようで、すっと瞳を逸らされた。
「…ルキア。玲と呼べ。敬語も要らぬ」
「兄様…まで…」
ちょっと絶望的な声をあげたルキアは、すっと目を閉じるとがらりと雰囲気を変えた。