第3章 〜特別〜
「玲」
嗜めるような白哉の声で、しゅんと項垂れる。
私は死神ではない。
現世行きなど許可されるわけもなく、また勝手な行動も厳しく見られる。
「うぅ…分かってるもん」
最近言葉が子供っぽくなっているのは、多分気のせいじゃない。
八割以上白哉の子供扱いの所為な気はするけれど。
「…お爺ちゃんに交渉してみよ」
ぽつりと呟いた私に、少女がはっとして声をあげる。
「貴女は…瑞稀上官では?」
瑞稀は確かに私の苗字だ。
冬獅郎のくれた大切な。
けれど。
「…上官って何?」
知らない職種が付いていることに、私は首を傾げた。
「上官…では無いのですか?先日、風のように現れ、あっという間に席官となった目を疑うほど美しい女性の方だと…隊内で噂になっております」
所々尾ひれ付いてるその噂の人物が、何故私だと思ったのか激しく問いたい。
けれど、その前に。
「白哉、私いつ席官になったの?」
「なって居らぬな」
「だよね?」
見張りを付けている人間を、本人の了承も無しに席官に何て、あのお爺ちゃんがするわけ無い。