第3章 〜特別〜
白哉の手が私の頭を一つ撫でて、そっと身体を離させる。
「兄様」
「入れ」
白哉の放った声は何時もとは違って冷たくて。
けれど、何処と無く迷いがあった。
「…失礼します」
「何だ」
礼儀正しく襖の開いた少女が私の存在に目を見開いて。
しかし、白哉の声にはっと我に返って頭を下げる。
「私はこれより、現世での任務に就くことになりました」
「…そうか」
素っ気ない白哉の返事で沈黙が降りる…間も無く。
私は入ってきた少女のそばに飛んで行った。
「現世?!」
「は…はい」
「いいな…私も行きたい」
正しく喫驚した表情を浮かべる少女に、私は笑顔で心情を吐露していた。