第2章 〜天賦〜
控えめに扉を叩く音で、落ちかけていた意識が覚醒する。
時計を見ると、午前零時。
誰だ?こんな時間に。
霊圧を探ると、微かな、玲の霊圧。
慌てて扉を開くと、彼奴が申し訳なさそうに立っていた。
「…どうした?」
問うてみても、玲は何かを耐えるように目を逸らすだけ。
「…取り敢えず入れ」
隊舎の廊下は目立つ。
玲みたいな綺麗過ぎる女が歩いていれば尚のこと。
入れたは良いが、どう扱っていいのか分からずに、玲を観察する。
適当に椅子に座った玲は、さっきよりは落ち着いているように見えた。
「玲?」
「うん?」
「どうした?」
再び問うと、彼女は胸の前できゅっと手を握った。
「…眠れなくて」
「それで俺の部屋に来たのか?」
「迷惑…だったら、帰るよ」
瞳を揺らす玲は、何処と無く不安定だった。