第2章 〜天賦〜
そっと長椅子から立ち上がり、副隊長の執務机に移動して。
目を丸くしている乱菊を尻目に、凄い勢いで書類を片していく。
多分演算能力とか、情報処理能力とか、普通のレベルじゃないんだろう。
ぱらぱらと書類をめくれば、内容は全て頭に入るし、筆を動かせば即座に模範解答が記される。
そんな感じで終わった書類を積み上げ続け、最後の一枚をちょっと背伸びして山の天辺に乗せた時。
漸く落ち着いた雛森さんと冬獅郎が此方に気付いた。
「よし、終了。乱菊、出来た書類各隊に配るぐらいやってよね?」
「あ…ええ、勿論よ!」
勢いよく頷いた乱菊は、山の様な書類を抱えて隊主室を出ていった。
机の上には墨と硯と筆だけ。
うん、やっぱりこうじゃないとね。
なんて自己満足していると、雛森さんがきらきらと目を輝かせて此方を見ていた。