第2章 〜天賦〜
「シロちゃんを…いえ、日番谷隊長を元に戻して下さい!」
何処と無く圧力を感じる言葉を流し、冬獅郎に視線を向ける。
彼の目は冗談じゃないと語っていたけれど。
「良いよ?本人が戻りたいって思っているのなら」
私は少し意地悪を言ってみた。
すると雛森さんは冬獅郎に向き直り、すごい剣幕で詰め寄る。
「日番谷君!戻りたいよね?!」
「いや、俺は別に…」
「どうして?!薬間違えられて突然大きくなっちゃったのに、今のままがいいって言うの?」
話の流れを見るに、私が薬を間違えたという事で彼女らは納得しているようだった。
それが確認出来ただけでも良いかな。
私は元の長椅子に戻って、冬獅郎が雛森さんを諌める声を聞きながら、羊羹を頬張る。
乱菊さんには、呑気ね…なんて、呆れられたけれど。
「だから!お前が前の姿に執着するのは、俺を子供扱い出来なくなったってだけの理由だろうが!」
「そんなんじゃないよ!突然身体大きくなって、なにも悪影響出ないはず無いじゃない!」
「俺が飲んだのは魂魄安定剤だって言っただろ?!なんの悪影響が出るってんだ!」
「それじゃあ、それが日番谷君の本来の姿だって言うの?!」
「昨日もそう言っただろ?!」
思ってたよりすごい剣幕で言い合いを始めた二人。
そう言えば彼等は幼馴染みなんだっけ、とか至極どうでも良いことを考えながら、お茶を一口飲む。