第2章 〜天賦〜
「五番隊副隊長の雛森です。瑞稀さんはいらっしゃいますか?」
きょとんとしていると、冬獅郎と乱菊が此方に視線を向けたため、立ち上がって扉を開ける。
「はい、瑞稀ですが…あ、貴女は昨日の…」
昨日、白哉に連れ去られる前に冬獅郎を見て嘆いていたお団子頭の女の子だった。
そう言えば情報に彼女の顔もあったなぁなんて、今更ながらに思い出しながら。
「こちら、十二番隊隊長から預かってきた霊圧抑制装置です。それと、少しお話宜しいでしょうか」
酷く無骨な抑制装置を渡され、固い表情で問われる。
どうして、こんな堅苦しい言葉遣いなのかと首を傾げつつ頷くと、彼女を部屋へ通した。
私の部屋じゃないけれど。
「あら、雛森。玲に何か用なの?」
長椅子で寛いでいた乱菊が、何時もの調子で声を掛ける。
副隊長同士、仲が良いのかもしれない。
「うん、そうなの。じゃあ、瑞稀さん本題に入ってもいいですか?」
くるりと真剣な目で振り返った雛森に、目を瞬かせながら頷く。