第2章 〜天賦〜
「あら、隣に座っちゃって~。何話してたんですか?」
戻ってきた乱菊に茶化されながら、お茶を手渡され、お皿に乗った黒いような紫の様な、四角い不思議なお茶請けが置かれる。
私はそれを情報検索。
結果羊羹だと判明。
材料もわかったから、警戒心は無いけれど、好奇心は凄くある。
備え付けてあった楊枝で適度な大きさに切り分けて、口に運ぶ。
と、口に入った途端、蕩けるような感触と、丁度いい甘さが味覚を刺激して、凄く幸せな気分になった。
「あら、玲、羊羹好きだったのね」
自然に笑みが溢れていたのだろう。
乱菊に微笑ましそうに見つめられる。
「うん、これ美味しい。なんだか凄く幸せ」
答えると、冬獅郎がまだ手を付けていなかった羊羹を此方に押した。
「ならこれも食べろ。俺は好きではなからな」
彼はちょっと嘘つきだ。
どっちかと言うと見栄っ張りなのかな。
普段は嘘なんて付かないのに。
「でも冬獅郎、甘いもの結構好きでしょ?こういうのって少し食べるのが美味しいんだよ?いっぱい食べちゃうと有り難み無くなっちゃう」
さり気無く断ると、冬獅郎は複雑そうな顔をした。
「…そういうもんか」
「そうだよ~」
そんなやり取りを交わしながら、お茶をしていると、隊主室の扉が叩かれた。