第2章 〜天賦〜
「あれ、なんかピリピリしてる?」
首を傾げる玲に何でもないと首を振る。
「…休むか」
「うん。お茶菓子も貰ってきたから食べよ」
長椅子に向かう玲の盆の上に、湯のみが二つしかない事に恋次が気付く。
「おい、俺の分は…」
「あれ?恋次もいるの?」
きょとんと首を傾げられ、彼はがくりと肩を落とした。
「…いや、いい。どうせ俺なんか…」
ジメジメとした空気を纏いながら、卑屈っぽくぼやく恋次に、玲が苦笑して、お茶を差し出す。
「はい、冗談だよ。ほら休憩しよ」
「…あ、あぁ…って、お前最初から…」
再度盆の上に目を向けると、湯のみは後二つ。
恐らく玲が幻覚か何かで隠していたのだろう。
「だって恋次からかい甲斐あるんだもん」
くすくすと笑う玲と、何処と無く不機嫌そうな白哉。
恋次は、自分も長椅子に移動する勇気は持てず、茶菓子とお茶をその場で受け取った。
「そこでいいの?」
「俺は隊長みたいに万能じゃねぇんだよ。休憩なんざしてたら終わんねぇ」
「…そうなんだ」
納得されてしまったことにイラっとした恋次だが、白哉の前で声を荒げる訳にも行かず、黙り込む。
そんな彼に首を傾げた玲だが、それ以上は何も言わずに白哉の待つ長椅子に戻っていった。