第2章 〜天賦〜
そこに乱菊さんが包みを手に戻ってきて。
「ほら、玲。どうせだから半分ほど移し替えたから持って行きなさい。後、お茶菓子も包んだからね?」
「わぁ、ありがと、乱菊」
自然に笑顔になって受け取ると、また乱菊に抱き締められた。
「あ~やっぱり可愛いっ!ねぇ、玲?六番隊にそれ置いたら戻ってきなさいよ。私とお話ししましょ?」
彼女の言葉に、冬獅郎が微かに反応したのが目の端に映った。
そっか、単純に寂しいのかもしれない。
身体は大きくなっても、急成長した魂魄に、心が付いて行ってないのかも。
なら、彼の瞳の揺らぎが何と無く納得できる。
「うん、分かった。じゃあ、午後になったらこっち来るね」
気付かないふりをして、乱菊に微笑むと彼女も嬉しそうに笑った。
「本当?待ってるわ。なら、仕事早く終わらせなくちゃ。ね、隊長?」
冬獅郎を振り返り、ウインクしてみせる乱菊は、かなり察しがいいのかもしれない。
「…お前…昨日は日が傾くまで来なかった癖に…」
どの口が言うんだ、と続ける彼は素直じゃなくて。
そんな中解放してもらった私は、包みを持ち直して、声を掛けた。
「じゃあ午後にね」
まだ何か言いたげな冬獅郎にくすりと笑うと、罰の悪そうな顔をして目を逸らした。
「あぁ」
見た目銀髪翡翠眼の美青年なのに、保護欲唆るの止めてもらえないだろうか。
なんて、流石に口に出来ないので、待ちくたびれた様子の砕蜂さんに一言謝って六番隊へと戻べく足を進めた。