第12章 〜化身〜
「あ〜玲大丈夫かしら。気が気じゃなくてやってられないわ」
玲が用意した紅茶を飲みながらクッキーを摘み、乱菊は溜息を吐いた。
何処かぼぅっとしているのは、本当に心配だからなのだろう。
「乱菊さん。休憩ばかりしてると皆に置いていかれますよ?」
そんな乱菊に横から注意する吉良。
だが、自隊の隊長に怒られ慣れている乱菊がその程度で動じるはずもなく。
「あら、吉良じゃない。私はこうしていても制御訓練はしてるわよ?」
「サボってるようにしか見えませんけど」
あっけらかんと言い放つ乱菊に吉良は肩を落とす。
「あんた、あれ見てよく平然としてられるわね」
「僕は玲さんが負けるとは、思えませんから」
いつの間にやら吹っ切れたらしい吉良に、乱菊がにやりと笑う。
「吉良。あんた玲と何かあったわね?」
「な、何言ってるんですか?!」
「俺も興味あるな。おい吉良、話せ」
「檜佐木さん!サボると隊長の千本桜が…って、何の話っスか?」
檜佐木と恋次も乱入し、吉良は堪らず逃げ出した。
「こら!待ちなさい!」
「てめ、吉良逃げるな!」
「咆えろ蛇尾丸!」
騒がしい副官達に、元流斎の流刃若火と白哉の千本桜、冬獅郎の氷輪丸までもが襲い掛かったのを見て、震え上がる他の死神達。
今回ばかりは、以前のようにのんびりとは行かないと理解している彼等の怒りは、皆を必死に修行に取り組ませたのだった。