第12章 〜化身〜
冬獅郎が此処に来てから一日経った。
朽木の料理人が作った食事には驚いたが、それも玲の頼みだと知ると、成る程と納得した。
今の俺の転換率は118、集束率は121。
やってみると確かに、霊圧コントロールにも影響が出ることは分かった。
霊力と霊子を同時にコントロールするのは、霊圧を御するよりずっと難しいからだ。
玲が作った穴の向こうからは、常に轟音が響いてくる。
それが押されているのか、押しているのかなど、姿が見えもしない彼には分からないけれど。
気が気じゃ無いのも確かだった。
冬獅郎は、月読と一度対峙している。
あの禍々しい霊圧と、凄まじい破壊力の閃光は、今でも鮮明に覚えている。
霊力が足りない状態で撃たれたそれが、数日の間空に黒く後を残したのだから。
忘れられる訳がない。
一際大きな音がして、彼奴が入っていった壁の一部が崩壊し、玲が弾き出された。
その姿は見た事もないほど血塗れで。
驚愕に目を見開くも、きゅんと時間が回帰する特有の音が響いて、玲の傷とボロボロだった死覇装が元の綺麗な状態へと戻る。
「こら、天照!治しちゃ駄目でしょ?!」
玲が慌てたように叫ぶ所を見ると、意図して行ったのではないことが分かる。