第12章 〜化身〜
「今渡したのは霊子変換補助と集束能力を向上させる道具。滅却師たちが使ってる装身具と類となる物。それを扱えれば、霧散率と拡散率は−50に、転換率と集束率を150まで上げられる。此処まで言えば分かるよね?」
また鬼道演習かよ、と悪態を吐く更木に暇潰しとして殺気石も人数分用意して。
「因みにこれ、自分の霊力だけじゃなくて周囲の霊子もコントロール出来なきゃ暴発するから。制御能力向上の為だからね、頑張って」
何故こんな事をするのか、理由を知ってる冬獅郎と白哉は、黙って頷いた。
他の隊長格達は冷や汗交じりに耳飾りを見つめている。
私は前回と同じくテーブルと椅子を人数分だして、お茶の用意をすると、冬獅郎と白哉に説明を頼んだ。
了承してくれた二人に微笑んで、私は修行開始組に向き直る。
「さて、砕蜂は今つけてる制御装置外して、さっき渡したの付けてね。マユリさん、研究しようとしないでね。データなら、後であげるから」
「これを外すのか」
「ほう?こんな物のデータまで解析済みとは、流石だネ」
「…創れるんだから、解析出来てないと不可能でしょ?もし貴方のところで量産できるなら、私が無理して霊力消耗しなくて済むしね。はい、砕蜂。数字は?」
マユリさんに軽く本音を告げつつ、制御装置を付け直した砕蜂に問う。
「52だ」
「それが今の霊圧制御率ね。先ずはそれを100にしてね。ゆっくりで良いから。この空間は向こうの一時間が此方の一日。大体遅くても三日掛ければ出来るはずだから。休憩室は此処を出て左側。
扉にプレート掛かってるから自分の部屋で休んでね。食事は適当な時間に用意するからご心配なく」
まるで丸投げな説明に、副隊長や席官達は不安そうな顔をする。
それを見て、取り敢えず引率を総隊長に任せた。
「後宜しくね。私自分の斬魄刀、どうにかしてくるから」
「成る程の。あい分かった」
頷く元流斎に微笑んでから、私はテーブルと椅子、ティーセットを創造する。
「休みながらで良いからね」
何か言いたげな修兵や吉良、乱菊に少し笑みを向けて、私は白哉の所へ向かった。
取り敢えず自分が居ないだろう三日間、食事を用意してくれる人を手配するのに彼以外思い当たらずに。