第12章 〜化身〜
その後。
落ち着いて仕事に戻った冬獅郎を横目に、長椅子に落ち着いた私は、黙々と潜在霊圧制御装置を創っていた。
この間の修行に参加しなかった隊長、副隊長は、十三人。
十二番隊は総隊長命令でも来るかどうか分からないけれど、少なくとも人数分は必要で。
十三番隊にはルキアを連れて来てと言ってあるからもう一つ余分に。
一つ作る毎に一割霊力を持っていく複雑難儀なその制御装置を目標個数作るには、霊子変換を駆使するしか無くて。
序でにもう一種、霊子変換と集束を補助する耳飾りを十個創り終えると、私はぐったりと長椅子に横になった。
今日も今日とて乱菊は居ない。
サボリ魔の彼女がちゃんと来るのか、今日あんな態度だった吉良が来てくれるのか…。
結構頑張って創った制御装置が、無駄にならない事を軽く祈る。
「…玲?」
創造が終わった事に気付いて、視線を上げる冬獅郎。
「うん、終わった…けど、結構疲れたから…寝かせて」
「何時に起きる?」
「酉の下刻(18時頃)…」
それは定刻と同じ時間で。
集合は現地。時間は戌の上刻(19時頃)。
そう、総隊長から伝令が回ってるはず。
場所がわからない者は一度十三番隊に集まって、浮竹と共に来ると報告が来ていた。
今日ばかりは執務よりも優先せよと一言添えてくれた元流斎には少しだけ感謝しつつ。
彼が近付いてきて、羽織を掛けてくれる気配を感じた後、私は気怠さに負けて意識を手離した。