• テキストサイズ

〜泡沫〜《BLEACH》

第12章 〜化身〜



三番隊隊主室にて、副官お手上げの書類を片付けながら、私はお茶をこくりと飲んだ。

独特な苦味のあるそれは、多分高級な玉露。

そして、書類は大分無理して減らされている事を伺わせるほど少なかった。

そこまで違和感を感じていて、黙っている訳にも行かない。

殆ど視線を合わせない吉良を見遣って、湯飲みを置く。


「ねぇ、吉良君。書類、これだけじゃ無いでしょ?」


「…どうしてだい?」


「貴方と同じ現世任務に降りてた修兵の部屋は書類倉庫。行ってなかった桃の所でさえこの倍はあったけど?」


問い詰めてみると、気まずそうに目を逸らす彼に息を吐く。


「出来ない書類だけでいいから、出して。終わったら直ぐに出て行くから」


「あ、僕はそんな…」


「良いよ。どちらかと言うと貴方の反応が正常。私の存在を簡単に認められる周りがちょっと異端なだけ」


自分で言ってて少し悲しくはなるけれど。

力を隠しもせずに振るう事で、畏怖を示す者が現れる事ぐらい初めから承知していて。

それは奇しくもバウントのリーダー狩矢が言った通りの反応なのだから。


「すみません。…お願いします」


何処に隠していたのか持ってこられた書類の束に少し微笑む。

/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp