第11章 〜予兆〜
「玲、玲…」
私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
ぼんやりとした意識の中、目を開く。
そこは、見慣れた屋敷の天井で。
「目を覚ましたか」
何処と無く安堵した様に微笑むのは、白哉。
起き上がろうと身体を動かすも、上手く動かない。
「熱が上がったか?」
私の様子に気付いて、起こしてくれる白哉は、昼間とは雰囲気が違う。
それはいつもの事だけれど。
私の身体に触れた彼は、珍しく目を見開いた。
「前回もこの様な衰弱を?」
少し記憶を探って、首を振る。
今日の反動は、四神封印だけの物じゃない。
霊圧をほぼゼロにした状態で月読が破壊閃を撃った反動も、その後、無理して天照を使った反動も顕著に出たのだろう。
身動ぎするのも、辛い程弱った身体を、霊力を纏って強化する。
「無茶をするな」
それも眉根を寄せた白哉に霧散させられて、彼の腕に寄り掛かる。
「っ…はぁ、びゃく、や?」
「やはり解熱剤くらいは貰っておくのだったか」
「…薬は…効かない、よ…。私は…身体に、異変をきたす物、全部…拒絶しちゃうから」
「そう、か」
彼の瞳が不安に揺れる。
それは、私の心を締め付けた。