第11章 〜予兆〜
「だから、すみませんでしたって謝ってるじゃねぇか!」
「反省の欠片も見受けられんな。大きくなったのは身体だけかの、日番谷隊長」
今冬獅郎は絶賛逆ギレ中だった。
玲の中の破壊神が暴走し、応戦するために霊圧封印をゼロにして卍解した。
その霊圧で昏倒したのが全死神の九割五分という大惨事に、怒った元流斎と揉めに揉めた結果だった。
朽木も同罪なのだが、ソファで玲に膝枕して看病している奴は知らん顔だ。
「仕方あるまい。日番谷隊長、朽木隊長には暫く拘留処置を…「待って、お爺ちゃん。」」
「起きたかの。幾ら被害を回帰させ、皆の意識を賦活させても、此奴らが行った事は死神の規則に反する。どう責任を取るつもりかの」
「元々、意思のある月読を放って置いた私の責任。月読は屈伏させるし、彼等には霊圧のコントロールを叩き込む。他の死神も、二の舞にならない様に強化する。それじゃ、駄目?」
「儂が聞いておるのは責任の所在じゃよ」
「月読に支配される直前に、冬獅郎と白哉を呼んでって桃に頼んだのは私。彼等は悪くない。罰なら私が受けるよ」
熱に浮かされた身体を起こして元流斎を見遣るが、他の二人が黙っていない。
「待てよ!お前意識無かっただろうが!なんでお前が罰受けるんだよ!」
「玲。落ち着け。其方はまだ、熱は下がっておらぬ」
「良かろう。ならば瑞稀玲。先程自ら告げた全てを一週間でやり遂げよ。さすれば今回は見逃してやろう」
「馬鹿野郎!死神全部だぞ?んな短期間で出来るわけ…「良いよ」玲!」
あっさりと引き受けた玲は、すっと目を閉じる。
すると、周囲の霊子が玲の身体を取り巻き、弱々しかった彼女の霊圧が安定する。
「大丈夫。その代わり、死神全員に協力して貰うよ」
そう告げた彼女の瞳は自信に溢れていた。
「白哉と冬獅郎が封印率をゼロにして卍解しても、他の死神達が簡単に昏倒しなければ良いのよね?」
「そうじゃの」
「分かった。なら、お爺ちゃんも修行出てよね?」
「…仕方あるまい」
一度負けた負い目なのか、玲には強く言えない元柳斎。
二日後の修練場所は荒れそうだった。