第11章 〜予兆〜
「は…、はぁ…、っー」
「玲、か」
「だな」
霊圧だけで彼女が戻ったと判断し、卍解を解いて霊圧を抑える二人。
彼等はもう既に瀞霊廷中の死神が一部を除いてほぼ全員昏倒している事など知らない。
呼吸の整わない玲に白哉が膝を着いて手を貸すと、異様に熱い体温に気付く。
「熱か。天照は、まだ目覚めておらぬのか?」
小さく首を振る玲に、ならば何故と考え込むも。
「さっきの封印の反動だろ?バウントの時もあれ使って倒れたんだな」
一度見た事のある冬獅郎が、呆れながら確認する。
こくりと頷く玲をそうか、と撫でて、氷輪丸を鞘に戻す。
「朽木。玲頼む。俺は報告に…」
「大、丈夫。前方破損箇所修復及び廷内全ての魂魄の意識を賦活せよ。”天女の施”」
「あ、馬鹿やろ」
「無茶をする」
今更止められないことは分かっているのか、虹色の光が広がってゆく様を溜息と共に見遣る二人。
玲は案の定意識を失い、眠りに落ちた。
深い、眠りに。