第11章 〜予兆〜
彼等の会話も聞こえては居ないのか、彼女は指先に黒い光を灯す。
それが徐々に集束し、甲高い音を立てて二人に向けられた。
「黒い、虚閃?!」
「相手は破壊の斬魄刀。その程度の物である筈がない」
「けど、避けたら後ろ壊滅だぞ?!」
彼等の背後には死神達が働く隊舎。
避けられよう筈もない。
「仕方ない。卍解。千本桜景厳」
「卍解。大紅蓮氷輪丸」
斬魄刀を抜き、卍解の解号を唱えながら、霊圧封印率をゼロに下げる。
二人は、受け止めるつもりだった。
けれど、玲が突然苦しみ出し、黒い閃光は方向を変え、空へ上がって雲を、そして青空を消し飛ばす。
それが通った軌跡は黒く澱んではっきりと視認出来た。