第11章 〜予兆〜
その後、書類を片付けつつ、今日の抜き打ちテストの話をすれば、彼女も修行には参加するらしく。
結局少し顔出すぐらいはしなきゃいけないんだろうなと息を吐いた。
そう言えば彼等の中に調理が出来る人は居るのだろうか。
また向こう時間で十日も篭るつもりなら、食材だけ補充しても悲しい結末になり兼ねないのだけれど。
「そう言えば桃、料理出来る?」
「うん、シロちゃんとお婆ちゃん手伝ってたから少しぐらいなら」
そう言えば彼とこの子は幼馴染なんだっけ。
「そっか。七尾も出来そうだし、大丈夫…かな?」
「あ、そっか。向こうでのご飯、前は玲ちゃんに頼りっぱなしだったもんね」
「そうね。冬獅郎みたいに、主夫スキルある人が居るとも思えないし」
「しゅふ…?って、女の人の事じゃないの?」
そう言えばこの単語、現世での新用語だっけと思い出し、白紙の紙に漢字を書いてやる。
「これで主夫。端的に言えば、家事を熟す男の人って事」
「へぇ、凄い!面白いね」
何がとは突っ込まない。
彼女にとっては新鮮なのだろう。