第11章 〜予兆〜
「良いよ。なら開いとくから。戌の上刻に」
「えぇえ?!瑞稀さん、それって何のお誘いですか?!「幾ら貴女でも隊長との逢瀬など許しませんぞ!」」
「あら、盛大な勘違いね」
「あんたは被せるな!髭達磨の癖に!」
「あんだと?お前こそ出しゃ張るな!ミジンコドチビ!」
入ってきて早々言い争う三席二人。
どうせなら、どちらかを四席に降ろせばこんな争い方はしないだろうになんて考えは、浮竹は持ってはいないんだろう。
「あぁ、出来れば今回は彼等も連れて行きたいんだが…」
「「隊長?!逢瀬じゃないんですか?!」」
声を揃えて叫ぶ彼等には悪いけれど、今日私は行くつもりはない。
「今日は開けてあげるだけ。私が見るのは二日後。総隊長に話しは通しておいた筈だよ」
「あぁ…そうだったな」
少し残念そうに肩を落とす浮竹に近寄って耳打ちする。
「朽木ルキアを連れて来なさい」
「えぇ?!彼女は…「この隊の席官以下、潜在能力が最も高いのは彼女よ。それと。隊員達に今度余計な事吹き込んだら、”黒棺”覚悟なさいね」
「はははは…」
乾いた笑い声をあげる浮竹を置いて、私は瞬歩でその場を去った。