第11章 〜予兆〜
「分かったかい?ならもう彼女に反発する様な事は…「ねぇ浮竹さん。彼女って誰かな?」」
「瑞稀!」
びくぅっと身体を強張らせる…恐らく平隊員だろう死神達を見遣って、私は白髪の美丈夫を睨んだ。
「いや、これはだな。あぁ、彼女って言うのは俺の恋仲で…」
頻りに目を泳がせて、必死に手を振る彼の言葉に説得力はまるで無い。
「浮竹さん。吐くならもう少しましな嘘考えよっか?」
にっこりと笑って、無詠唱で六杖光牢を発動。
他の死神達が唖然とする中、甲高い音を立てて霊力が収縮する。
「瑞稀、何を…「お仕置きだよ?」悪かった、僕が悪かったから!「問答無用。ちゃんと防いでね?」」
刹那驚異的な破壊力を持った蒼炎が、爆音をあげた。
「いたた…瑞稀容赦無いなぁ」
とは言いつつ、咄嗟に引き上げた霊圧による防御だけで、殆どのダメージを逃してしまった浮竹。
平隊員さん達は唖然。
「三十番台選んであげただけ優しいでしょ?」
「いや、君のは普通の九十番台より威力有るから」
「そんなの、霊力ちゃんとコントロールできる様になった浮竹さんも同じじゃない?」
「いや、僕のは其処まで威力上がらないんだ。どうしてかな」
「修行不足ね」
「あ、はい。君に言われると辛いね。今晩あの場所借りても良いかい?」
頭を掻きながらそんな事を問う浮竹に、私は頷いた。