第11章 〜予兆〜
プリン液をカラメルを入れた型に流し込んで蒸し器で蒸す事少し。
時間短縮ぐらいは使って良いだろうと、蒸し器とオーブンの経過時間を加速させ。
目を瞬かせながら、焼き加減を見ている冬獅郎の横で、蒸し終わったプリンを冷蔵庫にいれる。
「…やけに早く焼けたな?」
「そりゃあ、加速させたし」
「だと思った」
小さく溜息を吐きながらも、ローストビーフを切って行く冬獅郎は、少し慣れ過ぎな気がするのだけれど。
それは白哉も同じか、と思いつつ、テリーヌをテーブルに運び、ミネストローネを器によそう。
プリンの冷却時間は待ってられないためこれも少し加速させておいて。
ミネストローネをテーブルに運ぶと、冬獅郎がローストビーフを大皿に盛り付けて持ってきた。
「ん、完成。初めてにしては綺麗に出来たね」
「見た目はな。味は知らねぇぞ」
そう言いつつ、食べたそれはとても美味しくて。
「ん、美味しい。でも、食べきれないね」
少し作り過ぎた気がするそれは、普通に考えて食べられる量では無い。
「…後でどっか持ってくか」
ふぅふぅとミネストローネを息で冷ます冬獅郎は猫舌で。
そんな姿が可愛く見えてしまって、くすと笑う。