第11章 〜予兆〜
「なぁ、さっきのって何なんだ?」
「さっきのって?」
持ってきていた弁当を食べだした檜佐木が、思い出したかの様に問う。
「あの、静電気みたいな、アレ」
「自動防衛機能…とでも言っとこうかな」
「自動って事は勝手にって事か?発動原理は?」
「私が恐怖又は嫌悪を感じる対象に攻撃する。威力はあれが最小」
「…嫌悪…」
玲の言葉にずんと沈み込む檜佐木。
ついさっき心を持って行かれた相手に言われた言葉がそれでは無理も無いが。
「だって修兵、嫌らしい目してたじゃない」
「俺そんな分かりやすいか?」
「うん。加減してあげただけ、マシだと思いなよ」
因みに過去、この自動防衛で京楽が失神している。
修練場所に勝手に持参していた酒で酔い潰れ、玲に纏わり付いて、怒りを買ったのだ。
「…因みに今までの被害者は?」
玲はどうしてそんな事を聞くのかと訝しげな視線を向けるが。
檜佐木にとってはかなり重要な事なのだ。
自分だけ何て言われれば、今日早退する自信があるぐらいには。
「…冬獅郎、白哉、京楽、浮竹さん、後は…よく知らない人が何人か」
とどのつまり、玲に触れようとした男死神はほぼ全員だ。