第11章 〜予兆〜
同性に対してはどこか遠慮がある様で、被害に遭ったものは居ないが。
檜佐木は、普段殆ど一緒にいる日番谷や朽木まで被害に遭ってると知って、安堵の息を吐いた。
「つか、隊長格の霊圧が変容してんのってお前の所為?」
「まぁ、特訓したし」
さらりと答えて海老を突く玲に、檜佐木はがくりと肩を落とした。
「なぁ、俺此処開けてたの二日程だぜ?その間にって、何の嫌がらせなんだよ」
「別に、人数制限があったから、あの時やっただけだよ。霊力戻ったし、またやるなら何時でも出来るけど?」
玲の様子から悪気は無いと判断した檜佐木が、ならばと話に食い付く。
「なら、瀞霊廷通信の編集終わったら、付き合ってくれよ」
「何時?締切」
「三日後」
「ふぅん。まぁ、いっか。なら、総隊長に話通しとくから」
その言葉に檜佐木が目を見開く。
「なんで、総隊長?」
「伝令してもらうの。次の特訓三日後にするから、来れる人は来てって」
「…つっても、夜の数時間だろ?」
「私がそんなに緩い事すると思ってるの?」
そうだ。目の前の彼女は何でもありなのだ。
喩え時間軸を変容させたっておかしく無いぐらいには。
「こっちの一時間は向こうの一日だよ?」
珍しく冴えた勘が当たって、出来るなら当たってほしくなかったと息を吐く檜佐木だった。