第11章 〜予兆〜
食事の時、白哉は殆ど話さない。
今日は時折桜が舞っている様だから、何も聞いていないわけじゃ無いんだろうけど。
標的は全て一護だから、私も笑って受け流す。
明日には彼等は帰るのだ。
今日ぐらい、好きにさせてやろうと、隣の白哉をつつくと、彼は仕方ないとでも言いたげに指を降ろした。
「てめ、飯の途中に何て事しやがる!」
「汚い。飲み込んでから喋れ」
確かにと納得したのか、咀嚼、嚥下してから再び口を開く一護。
しかし、さっきまでの勢いは無くなっていた。
「つーか、白哉。斬魄刀、解放してねぇよな。今持ってすらいねぇし。何で今も操れんだ?」
「常時解放になり、力がより強力になった千本桜と結び付きも強まった。それだけの事」
「それだけって…いや、マジで止めてくれ。解放しなくてもあの刃が飛んで来るとかどんな冗談だ」
ぶるりと身体を震わせる一護に、玲がくすくすと笑う。
ルキアも夜一も笑っている。
穏やかな夜は、こうして更けていった。