第11章 〜予兆〜
「で、四聖獣の封印紋がどの様なものかと言うのも知っておるのか?」
投げられた問いに私は少し首を傾げた。
「私はオリジナルだと思ってたんだけど…封印紋に意味があるのなら違うんだ」
「…成る程な。お主がオリジナルじゃと思うたならそれで良かろう」
彼女の言う意味を聞こうかとも思ったけれど。
私が知らない事は、世界が必要としない事象で。
聞いて記憶を拒絶されるのも面倒だと自己完結した私は、頷いた。
「それで良いなら、それでも良いかな」
「聞かぬのか」
「だって、世界中の森羅万象起こった全ての事象を情報として取得出来る私が知らない事って、知っちゃいけない事だと思うから」
きょとんと此方を見る夜一に、くすと笑って、視線を戻す。
「そうか」
結局何も言わなかった彼女の心の中までは読めはしない。
取得可能な情報量とて人の脳である限り、底は知れている。
けれど異質な事は確かで。
それについて何も言わない彼女に少し、嬉しくなったのは秘密。
その後夜一が見たいと言うので、総合救護詰所まで同行し、卯ノ花の手伝いで時間を潰した。
途中、一番隊隊士が大工達からの苦情を持って来たけれど、笑って破いておいた。
今度から修復は考えてやろうと肝に免じながら。