第10章 〜流転〜
「あら、白哉、拗ねてたの?」
そんな中。
くすと笑って、白哉の側へ移動し、彼の手を取る麗人に。
最早何処から突っ込んで良いのか分からない一護が目を回し始める。
「拗ねてなどおらぬ」
玲からついと視線を背ける白哉は、その場の誰もが見た事も無いほど、表情が幼かった。
「だー!冬獅郎!!説明しろ!」
「日番谷隊長だ!で、何のだ?」
呼び捨てて、一瞬こめかみに青筋を浮かべる所は変わっていない。
しかし、以前よりも精神的に大人になったのか、切り替えの早くなった彼に一瞬口籠る。
白哉と彼女の関係を聞きたいのは山々だが、そんな事を本人の前で問えば、桜の刃が舞いかねない。
「あ、そうだ。お前卍解して此処に来たのか?」
「聞きたいのはそんな事か?解放許可も出てねぇのに空飛ぶために卍解なんかする訳ないだろ」
「じゃあさっきの翼は?あれ、卍解した時のじゃねぇのか?」
くすくすと笑う玲と、初めて見る白哉の困り顔を視界の端で捉えつつ、大きくなった銀髪の青年に問いかける。
少し前までは小学生と変わらない出で立ちだったのに、今は一護よりも身長が高い事に少しムッとしながら。
「氷輪丸が常時解放型になってな。氷で創れるものならもう殆ど網羅した」
「いや、意味わかんねぇよ?!どうやったら斬魄刀が常時解放型になるんだ!つーかんな便利な常時解放があってたまるか!」
「知らねぇよ。詳しい事は玲に聞け。彼奴が俺の霊力を引き上げた時にそうなったんだ」
「それも玲さんかよ?!もうお前等色々感化され過ぎだろ!てか、霊力なんか引き上げられんのか?」
色々と理解が追いつかず、叫ぶ一護に、煩そうに片耳を抑える冬獅郎。
其処へふと現れた玲が、人差し指を一護の額に当てた。
瞬間、縛られたかの様に固まり、瞬きする一護。