第10章 〜流転〜
下らぬ、と心の中で呟いた。
斬魄刀を解放するまでも無く。
常時解放の刃と、たった一つの鬼道で地に伏したバウントを一瞥する。
砂となって消えた事を確認し、一つ溜息。
何故こんな弱き者共にあれ程まで混乱を見せていたのかが理解出来なかった。
空間移動だか知らぬが、硬い硬いと隊士達が騒いでいた鱗も、白雷一つで貫通したのだから、大した事は無かったのだろう。
付いてきていた恋次が驚愕と絶望を浮かべていたが、面倒だったので無視して踵を返した。
後ろで何やら隊士達が騒いでいたが、それも気にも留めない。
ルキアは、目覚めただろうか。
玲に治療してもらったのだから、そう長く床に伏せてはいまい。
其処らで聞こえる破壊音も、霊圧も、死神側が圧倒的に有利な事を示していて。
私は黙って屋敷へと脚を向けた。